2025年3月発表の米消費者物価指数と市場(2025/3)

はじめに

米国時間2025年3月12日(水)に2025年2月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。

前回2025年2月12日発表のCPIは概ね市場予想を上回りインフレ圧力が根強いことが示され、株式市場は下落、債券利回りは上昇、ドル円為替はドル高に変動した。

続いて2025年2月21日に発表された米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値とミシガン大消費者信頼感指数もインフレ傾向を示し景気減速の懸念が出て来たことで、株式市場は下落、債券利回りは低下、ドル円為替はドル安に大きく振れた。

そして2025年3月には米国が2月に1ヶ月延期していたカナダ、メキシコへの関税と中国への追加関税措置を発動し、その後も米政権の発言や措置によって市場及び自分の資産は大きく減少し、株式市場は調整局面となりつつある。

そんな状況の中で今回のCPI結果は非常に注目されていたのだが、その内容はどうだったのか。そしてそれを受けて市場はどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。


2025年3月12日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2025年2月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2025年2月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は前月比0.2%の上昇、市場予想は0.3%の上昇

  • 2025年2月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では2.8%上昇、市場予想は2.9%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.1%上昇、市場予想は3.2%の上昇、前月比では0.2%の上昇、市場予想は0.3%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比1.9%上昇。2025年1月も前年比1.9%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比2.5%上昇。2025年1月は前年比1.9%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比4.2%上昇。2025年1月は4.4%上昇

前年比コアCPIの3.1%は2021年4月以来の低い伸び。また米労働省労働統計局によると上昇分のほぼ半分が住居費によるもの。

ブルームバーグの算出によると住宅とエネルギーを除いたサービス価格は0.2%上昇(前月は0.8%上昇)だった。


同日の市場の動き

米国株式市場

開場前のCPI結果発表を受けて上昇して取引が始まったのだがその勢いは長く続かず、S&P 500やダウ工業平均は一時前日比マイナスに突入。その後持ち直したものの方向感に乏しい動きで、NASDAQ総合は1%を超える上昇となったがS&P 500は小幅上昇、ダウ工業平均は小幅下落となって取引を終えている。

大型ハイテク銘柄が上昇幅拡大に寄与したものの、同日発行された米国の鉄鋼・アルミニウムへの関税措置とそれに対する報復関税などが方向感が定まらない原因となったのだろう。

米国10年債

CPIが発表された米国東部夏時間8:30は上記チャートのCDT(米国中部夏時間)では7:30。

CPIの発表を受けて利回りは大きく低下したものの一瞬で発表前の水準に。その後は株式市場と類似した動きで方向感がつかめない動きで、結果的に前日比利回り上昇で取引を終えている。

ドル円為替

CPIの発表があった米EDT8:30は上記ドル円チャートのGMT12:30。CPI発表直後にそれまでのドル高の動きとは逆にドル安となったものの一瞬で、その後は再びドル高となり1ドル=149円台へ。しかしその勢いは長く続かずドル安傾向となり、1ドル=148円近辺での取引が続いている。


まとめ

今回のCPI結果は伸びが市場予想を下回ったことで市場に安心感をもたらしたものの長続きはせず、同日発行された鉄鋼・アルミニウムへの関税措置に代表される米国の関税政策がより市場に重要視されていることが見て取れた。

そして今回のCPI結果には米国の関税の影響がほとんど含まれていないことから、次回のCPIや今後トランプ政権の関税措置の影響を受けて発表される経済指標の結果が重要視されることになるだろう。

今回のCPIイベントは思ったよりも悪くなく通過したが、トランプ政権は関税政策による市場の混乱は一時的なものであるとの姿勢を崩しておらず、冒頭に挙げたような市場、自分の資産は今後も関税政策、そしてそれを受けた経済指標次第で大きく、しかも悪い方向に動く可能性があることを頭に入れておいた方がいいだろう。

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