はじめに
現地時間2024年10月15日(火)には自分の所有銘柄であるシティグループ(C)の2024年第3四半期決算発表が行われたのだが、決算を受けてシティ株は米国株式市場及び大手米銀が上昇する中で
と大きく下落してしまった。
そしてシティの決算発表の翌日10月16日(水)に複数のアナリストが決算発表を受けてシティグループの投資格付けのアップデートを行っている。以下、それらアナリストの見解を簡単にまとめておくことにする。
2024年10月16日のシティグループ投資格付けアップデート
B of A SecuritiesのアナリストEbrahim Poonawala氏
投資格付け:Buyで変わらず
目標株価:77ドルから78ドルに上方修正
以下はEbrahim Poonawala氏の投資格付けアップデートの要旨。
- (2024年第3四半期決算では)予想を上回る手数料収入が好調な業績を牽引し、非金利収入 (NIR) が13%増加、株式取引とサービス収入が前年比でそれぞれ32%と8%の大幅な成長を示している
- しかし純金利収入(NII)は予想を下回り、第4四半期のガイダンスは横ばい成長を示唆しており、第3四半期以前の予測と比較して下振れの可能性がある。また第4四半期の費用は134億ドルと予想されており、予想の132億ドルを若干上回っている
- 決算発表のカンファレンスコールにおいて、経営陣が当初これらの質問への対処に苦慮していた際に規制当局が資産上限を課す可能性についての懸念が浮上し、経営陣は資産上限がないことを明言したが不確実性がさらなる売りを誘発したのだろう
- 結局のところ、シティグループは依然として魅力的な投資先であり株価は2025年度の予想EPSの9.1倍、有形帳簿価額(TBV)の0.7倍で取引されている
- サービスや資産管理の効率性向上など、同社の進行中の変革が、今後1年間でTBVへの再評価を促進するはずだ
- NIIは短期的な課題に直面しているものの、特にサービス、市場、銀行業務における手数料収入の継続的な勢いが、シティグループが金利の逆風を乗り切るのに役立つ可能性が高い
OppenheimerのアナリストChris Kotowski氏
投資格付け:Outperformで変わらず
目標株価:92ドルから91ドルに下方修正
以下はChris Kotowski氏の投資格付けアップデートの要旨。
- 決算発表のカンファレンスコールの質疑における主な懸念点は以下のものに集中していた
- クレジットカードの損失が予想範囲の上限に近づいている点
- 資産上限の可能性に関する憶測
- BanamexのIPOが2025年に行われるかどうかの不確実性
- 経費を今年の538億ドルから2026年までに510億~530億ドルに削減する計画
- しかしシティグループは自分の調査対象の中で最も過小評価されている銀行の一つであり、有形帳簿価額のわずか0.7倍で取引されている
Goldman SachsのアナリストRichard Ramsden氏
投資格付け:Buyで変わらず
目標株価:71ドルから72ドルに上方修正
以下はRichard Ramsden氏の投資格付けアップデートの要旨。
- カンファレンスコールにおいて、経営陣は規制要件を満たすためのリスクと管理の強化、経費管理への継続的な注力、複数の事業にわたる市場シェア拡大に重点を置く戦略的優先事項を繰り返し強調した
- 2025年までの収益成長の道筋については不確実性があるものの、自分達のモデルでは2025年までの収益成長率は3%としか想定しておらず、手数料ビジネスの勢いと同業他社に比べて低い資産感応度を踏まえると、これは管理可能と考える
- 同社が通期の見通しを維持し、第3四半期の業績において市場と資産運用事業の勢い、カード事業の信用指標の改善といったいくつかの好ましい傾向を示したことを考えると、火曜日の株価急落は買いのチャンスである
Morgan StanleyのアナリストBetsy Graseck氏
投資格付け:Overweightで変わらず
目標株価:86ドルから82ドルに下方修正
以下はBetsy Graseck氏の投資格付けアップデートの要旨。
- 好調な資本市場と経費の減少によりEPSは18%予想を上回ったが、2024年の経費ガイダンスは変更されておらず、第4四半期の経費が前四半期比2%増となることが示唆された
- 我々は経費増加と純利息収入の減少を受けて、2025年のEPS予想を4%引き下げて7.46ドルとしたが、手数料収入の増加で一部相殺されている
まとめ
以上シティグループの2024年第3四半期決算発表後にアップデートされたアナリストの投資格付けをまとめてみた。
目標株価は上方修正、下方修正が半分ずつと分かれる形になったが、投資格付け自体はいずれも変わっていない。また下方修正された株価でも、現在のシティの株価は上回っている。
これらアナリストの見解を受けてシティ株は
2.57%の上昇。前日の決算を受けての大幅下落を回復するまでには至らなかったが、続落することは無かったので決算での悪材料は大体株価に吸収されたと思いたい。
とはいえ個人的には昨日の決算まとめでも記した様に
「今回の決算を受けての下落で直近の悪材料が株価に反映されてくれるといいのだが、リスクを抱えた状態(補足:2020年から続く監督官庁からのデータ管理に対する是正措置)であることを踏まえると残念ながら冴えない株価推移が続きそうな気がしている。」
と先行きにあまり期待が持てないのはアナリストのアップデートを受けてもあまり変わらない。願わくば(よくある事だが)自分が考え過ぎ/悲観的過ぎであって、堅調な株価推移を続けてくれると有難いのだが。