ボーイング(BA)2024年第1四半期決算発表(2024/4)

はじめに

2024年4月24日(水)には自分が所有しているボーイング(BA)の2024年第1四半期決算発表があった。

前回の四半期決算自体は上昇する結果となったものの、2024年に入ってからの737MAX型機の事故/製造問題が解決した訳ではなく、現在もその問題は続いている。

そんな状況の中、今回のボーイング決算内容はどうだったのか。以下に確認して整理しておく。


ボーイング2024年第1四半期決算概要

以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第1四半期の売上高(Revenues)は165億6900万ドルで、前年同期比8%減少
  • 2024年第1四半期のGAAPベース純損失(Net Loss)は3億5500万ドルの損失、前年同期は4億2500万ドルの損失
  • 2024年第1四半期のGAAPベース一株当たり損失(Loss per share)は0.56ドルの損失、前年同期は0.69ドルの損失
  • 2024年第1四半期のNon-GAAPベース調整後中核事業一株当たり損失(Core loss Per Share)1.13ドルの損失、前年同期は1.27ドルの損失

  • 2024年第1四半期のフリーキャッシュフローは39億2900万ドルの流出、前年同期は7億8600万ドルの流出

  • 2024年第1四半期の財務状況は総債務(Consolidated Debt)が479億ドル、前四半期から44億ドル減少

事業部別業績

【Commercial Airplanes(商用機部門)】

  • 2024年第1四半期の商用機の引き渡しは83件、前年同期は130件で36%の減少
  • 売上は46億5300万ドルで前年同期比31%の減少
  • 損失は11億4300万ドル、前年同期は6億1500万ドルの損失
  • 営業マージンはマイナス24.6%、前年同期はマイナス9.2%
  • 受注残は5600機以上で4480億ドル

【Defense, Space & Security(防衛・宇宙・セキュリティ部門)】

  • 売上は69億5000万ドルで前年同期比6%の増加
  • 利益は1億5100万ドル、前年同期は2億1200万ドルの損失
  • 営業マージンは2.2%、前年同期はマイナス3.2%
  • 受注残は610億ドル。うち31%は海外からの注文

【グローバルサービス部門】

  • 売上は50億4500万ドルで前年同期比7%増
  • 利益は9億1600万ドルで前年同期比8%増
  • 営業マージンは18.2%、前年同期は17.9%

2024年通期見通し

前回に続き737MAX問題への対応や品質強化に注力するとして2024年の業績や納入見通しを示さず。

その他

その他決算資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • カンファレンスコールで第1四半期決算発表の説明前に737MAX問題についての進捗説明
  • 今年上半期の737MAX生産は月38機未満だが、下半期には月38機に戻ると予想。ただしタイミングはFAA(連邦航空局)による
  • 787は当面生産量を減らしているが今年後半には月5機に戻す予定で、2026年までに月10機を目指す
  • 777Xはプログラムのスケジュールに沿って進捗を続けており、2025年に最初の納入予定。認証飛行試験を開始するための承認を得る作業を含めFAAと協業している
  • 先月言及したように、2024年通年のフリーキャッシュフローは2桁億ドル前半と想定
  • 現在(サプライヤーである)スピリット・エアロ・システムズ(SPR)との話し合いが進行中。合意を締結する前に必要な時間をかけていく
    • (ボーイング決算発表の前日)スピリットに対して4億2500万ドルを前払いすることに合意。これにより資金繰りの悪化といった問題への対処を支援

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第1四半期の売上高(Revenues)は165億6900万ドル、市場予想の162億3000万ドルを上回っている
  • 2024年第1四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は1.13ドルの損失、市場予想は1.76ドルの損失
  • 2024年第1四半期のフリーキャッシュフローは39億2900万ドルの流出、市場予想は44億ドルの流出

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてボーイング株は

前日比2.87%の下落。同日の米国市場が

方向感に乏しかったものの前日とほぼ変わらずで終えたのに比べるとボーイングの下げ幅は大きい。

日中の動きを見てみると

開場後は上昇して始まったものの、カンファレンスコールが始まった10時半ぐらいから徐々に下がり前日比マイナス、そして14時前に一段下落して取引を終えている。14時前に一段の下落となったのはムーディーズがボーイングの格付けをBaa2からBaa3、見通しをWatch NegativeからNegativeに下方修正したため。理由として商用航空機部門のフォーマンス悪化により、フリーキャッシュフローの創出が予想していた水準に達しなかったためとしている。ちなみに翌日の25日にS&Pも投資格付け見通しをStable(安定的)からNegativeに下方修正している(長期投資格付けはBBB-、短期投資格付けはA-3で据え置き)。

今回決算後数日を含めた年初来のボーイング株の推移を見てみると

2024年1月のボーイング737MAX型機の事故以来色々あったものの基本的に回復の兆しは見られず、市場が約7%上昇しているのに反して右肩下がりで30%を超える下落。今回決算以降数日はやや持ち直しているが、市場の上昇に助けられている側面もあり何とも言えない。何とかこれ以上の下落とならないといいのだが。

今後のボーイング株だが、737MAX型機の問題が解決して月産数の制限が解除されない限りは上昇は望めないのだろう。その時期が早く来ることを願いつつも、我慢の時がまだまだ続きそうだ。

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