シティグループ(C)2023年第1四半期決算(2023/4)

はじめに

2023年4月14日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、シティグループ(C)などの米銀株が先陣を切って決算を発表している。

2023年3月には米銀破綻などがあって大きく下落した米銀株であるが、4月に入ってからは3月に比べると落ち着いた動きをしている様に見える。しかし、今回の四半期決算(1~3月)には3月も含まれるため、3月の米銀破綻や金融システム不安の影響が数値的にも現れてくるはずで銀行株にとっては重要な四半期決算発表になると思われる。

既に整理した様にJPモルガンは決算を受けて予想外に上昇したが、シティグループはどうだったか。以下シティの2023年第1四半期決算を確認し整理する。


シティグループ2023年第1四半期の決算概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Total Revenues)は214億4700万ドルで前四半期より19%増、前年同期比12%増
  • 純利益(Net Income)は46億600万ドルで前四半期より83%増、前年同期比7%増
  • 希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は2.19ドル(売却を除くと1.86ドル)で前四半期より89%増、前年同期比8%増

同日決算のあったJPモルガンと同様に、純金利収入(Net Interest Income:NII)が133億4800万ドルと前年同期比で23%増加している。

ただ今四半期は売却関連で税引前9億5300万ドル(税引後6億4800万ドル)の利益が含まれており、これを除くと純利益(Net Income)は前年比19%減となっている。

また今四半期も貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)を2億4100万ドル積み増して計6億7300万ドル計上しており、総与信費用は19億7500万ドル(前四半期は18億4500万ドル)となっている。

その他

その他気になった点をピックアップすると以下の様のものがある。

  • 発表資料中では「シティは銀行にとって激動の環境にもかかわらず良好な収益の伸びと経費の規律を示し、力強い業績を上げた」としている
  • 2023年3月末時点の預金残高は1兆3300億ドルで、四半期前の2022年12月末及び1年前の2022年3月末とほぼ変わらず
  • 市場では減益が見込まれていた債券・通貨・商品のトレーディング収入は4%増加し45億ドル。過去10年で3番目の好成績だったとのこと
  •  マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)はアナリストとのカンファレンスコールで、下半期に穏やかな景気後退に陥る可能性があることを踏まえ、向こう数四半期に融資返済の滞りが増えると予想しているが、減速は穏やかなものになると見ており準備はできていると発言

2023年通期見通し

2023年通期見通しは以下の通り。

タイトルにある通り前四半期から変更なし。

  • Revenues(収入):780億ドル~790億ドル
  • Net interest income excluding Markets(純金利収入):~450億ドル
  • Expenses(経費):~540億ドル

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第1四半期の収入(Total Revenues)は214億4700万ドル、市場予想の200億ドルを上回っている
  • 2023年第1四半期の売却を除いた希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.86ドル、市場予想の1.67ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比4.78%の上昇。同日の米国市場が

同日発表された各種指標(小売売上高、鉱工業生産、消費者信頼感など)が総じて米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げが裏付けられると判断され、いずれも前日比マイナスだったことを考えるとシティの決算はかなり市場に評価されたようだ。

冒頭に懸念された3月の米銀破綻、銀行システムへの不安はシティの決算数値には現れず、3月の事態を受けて流出するかと危惧された預金残高はほぼ変わらず。また続いている利上げの恩恵を受け純金利収入が増加し、顧客が金利の変化に反応したため債券トレーディング収入が予想外に増加したこともシティにとっては好材料だったようだ。

年初来の株価を見てみると

年初来ではプラスになっているが、前四半期決算時(1月13日)の株価はやや下回っており、3月の下落分を回復するまでには至っていない。

気になる今後のシティ株だが決算結果を受けて上昇基調となるかどうか。米国での高金利が続く中での金利収入も引き続き増加している点や、米中堅銀行の破綻で銀行からの預金が流出するのではないかという市場の懸念に反して預金が減っていないことを重視すれば上昇基調となる気もするが、一方で今後の景気後退見込や総与信費用が20億ドルと2020年以来の高い水準となっていること、シティが他行に比べてインフラ関連が見劣りする点などを重視すると、まだまだ安心できる状況ではないかもしれない。

個人的には上昇が続く事を期待したいのだが、やはり自分の所有銀行株であるJPモルガンに比べると期待値はどうしても下がってしまう。今回の債券トレーディング増収という市場の予想外のポジティブサプライズを次四半期ももたらしてくれると有難いのだが。

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