はじめに
2022年8月10日の米国市場閉場後には自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)の2022年第3四半期決算発表があった。
個人的には前四半期決算以降冴えない動きをしている印象のあるウォルト・ディズニーであるのだが実際の決算結果はどうだったのか。以下内容を確認し整理しておく。
ウォルト・ディズニー2022年第3四半期決算概要
以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第3四半期の売上高(Revenues)は215億400万ドル、前年同期は170億2200万ドルで前年同期比26%の増加
- 2022年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.09ドル、前年同期は0.80ドルで前年同期比36%の増加
事業部別業績
事業部ごとの業績は以下の通り。
【Disney Media and Entertainment Distribution】
Disney Media and Entertainment Distributionの売上は前年比11%増の141億1000万ドル、営業利益は前年比32%減の13億8100万ドル。DTCの売上が19%増加しているものの、DTCの営業損失は前四半期と同様前年比約3倍に拡大している。営業損失の理由は主にディズニー・プラスの番組制作(特にインディアン・プレミア・リーグ クリケットの試合放送数が前年の29から64に拡大した)、マーケティング、インフラ投資コストが嵩んだことを挙げている。
Direct-to-Consumerの中核をなすディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2022年第3四半期末有料視聴者数と月平均利用額は以下の通り。
【有料視聴者数(単位100万)】
ディズニー・プラスの加入者数は1億5210万。前四半期は1億3770万だったので1440万の増加。市場予想の980万増を大幅に上回っている。
ESPN+は前四半期から50万増、Huluは前四半期から60万増。
【月平均利用額】
【Disney Parks, Experiences and Products】
Disney Parks, Experiences and Productsの売上は54億2300万ドルで前年同期は26億5600万ドル、営業利益は21億8600万ドルで前年同期は3億5600万ドル。
昨年はCOVID-19のため米国内のテーマパークがフル稼働していなかったが今四半期はフル稼働だったため米国内は売上、営業利益共に大幅増。米国を除く全世界が振るわなかったのは、上海が昨年はフル稼働だったのに対して今四半期は3日間の営業に留まったため。ただし昨年19日間の稼働だったパリが今四半期はフル稼働したことによりある程度相殺されている。
アナリストとのカンファレンスコール
以下はアナリストとのカンファレンスコールで気になった点。
- 米国内のパーク需要は引き続き予想を上回り2019年の水準を上回る来場者数
- 2024年9月末までに2億3000万から2億6000万のディズニー・プラス加入者及び黒字化という目標は変わらず
- Disney+が1億3500万~1億6500万
- インドのDisney+ Hotstarが最大8000万(可変要素あり)
- ディズニー・プラスの損失は2022年が以前と変わらずピークであると想定
ディズニー・プラスの広告付きプラン導入と価格改定
決算資料発表と同日に2022年12月8日からディズニー・プラスの広告付きプランの導入と価格改定の発表などを行っている。
新たに導入されるディズニー・プラスの広告付きプランは現行の広告無しプランと同額の7.99ドル/月。現行の広告無しプランは12月8日から3ドル(38%)値上げとなり10.99ドル/月。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第3四半期の売上高(Revenues)は215億400万ドル、市場予想の210億ドルを上回っている
- 2022年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.09ドル、市場予想の0.96ドルを上回っている
- 2022年第3四半期末のディズニー・プラス総加入者数は1億5210万、市場予想の1億4750万を上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてウォルト・ディズニーの株価は
4.68%の上昇。同日の米国市場が
あまりパッとしなかったのと比べるとディズニーの上昇はなかなかだったと言えるだろう。市場予想を上回る決算結果だったことと多数報道された様にストリーミングサービス全体(ディズニー・プラス、ESPN、Hulu)の加入者数が2億2110万とNetflixの2億2070万を初めて上回ったことが好感されたものと思われる。
年初来のディズニー株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
動き自体は市場と概ね同じ様に推移しているが下落率は10%以上大きい。7月中旬に一時終値で90ドル近くまで落ち込んだもののそれ以降は市場と連動して上昇基調となっている。
今後のディズニー株だが、COVID-19による閉鎖のため今第3四半期の業績にほとんど貢献しなかった上海ディズニーが6月末に再開しており、その分の上積みを考えると次第4四半期の業績も期待できそうな気はする。だがCOVID-19以来テーマパークの閉鎖/再開が続いており、また閉鎖される可能性もゼロではなく閉鎖された場合の影響が大きい点が気掛かりではある。DTCの損失ピークを2022年としていることもあり、ディズニー株はまだ方向性が定まらない時期が続く気がする。