はじめに
2022年8月4日(木)の米国市場閉場後に自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の決算発表があった。
決算発表後から時間外取引で大きく値を下げ翌日5日(金)の閉場後も
値を戻すことなく15%を超える急落となった。
以下気は進まないが決算内容を確認し、株価急落の原因について整理しておくことにする。
ワーナーブラザース・ディスカバリー2022年第2四半期決算概要
以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は98億2700万ドル、前年同期は30億6200万ドル
- 2022年第2四半期のシリーズA株1株当たりの希薄化後純(損失)利益(Net (loss) income per share allocated to Warner Bros. Discovery, Inc. Series A common stockholders Diluted)は1.50ドルの損失、前年同期は1.01ドルの利益
損益(Net (Loss)Income)として無形資産償却費用約20億ドル、再編などの費用約10億ドル、統合費用9億8300万ドルなどを含む34億800万ドルの損失を計上している。
事業部別業績
プロフォーマ調整はワーナーブラザース・ディスカバリー設立前の2022年4月8日までのAT&T傘下時のワーナーメディア事業であったため比較可能な様に実施。
【スタジオ部門】
プロフォーマベースでの売上は前年比4%増、費用は前年比6%増、Adjusted EBITDAはほぼ変わらず。
【ネットワーク事業】
プロフォーマベースでの売上は前年比1%増、費用は前年比14%増、Adjusted EBITDAは11%減。主にスポーツ放映権価格が費用を押し上げている。
【DTC事業】
プロフォーマベースでの売上は前年比4%増、費用は前年比33%増、Adjusted EBITDAはマイナス幅が倍に拡大。主に番組制作費用や既存及び新規マーケットへのインフラ投資が費用を押し上げている。
DTC加入者数
今四半期から加入者数の定義が変更されており、それに従って以前の数値も変更されている。
- 有料ストリーミング加入者の総数は今四半期170万増加し合計9210万
- 2023年夏にHBO MaxとDiscovery+が統合される予定
- より多くの顧客をプラットフォームに引き付ける方法として無料の広告付きストリーミングサービスを検討
2022年見通し
2022年第3四半期の見通しは無し。通期見通しに関してはEBITDAとフリーキャッシュフローの見通しを提供している。
- 2022年のプロフォーマEBITDA見通しは90億ドル~95億ドル(以前は100億ドル)
- 2023年のプロフォーマEBITDA見通しは120億ドル(以前は140億ドル)
- 2022年のフリーキャッシュフロー見通しは~30億ドル
アナリストとのカンファレンスコールでは以下の様に説明されている。
- DTC部門のEBITDA損失のピークは今年2022年に発生すると想定しています。これは、来年の夏から始まるHBO MaxとDiscovery+の統合計画に先立ちテクノロジー、人員、など各種統合に関する作業が発生するためです
- 米国のストリーミング事業が2024 年に利益を上げ、グローバルストリーミングセグメントが2025年までにEBITDAで10億ドルを生み出すことを目標にしています
- 2025年の世界の加入者数は約1億3000万人と想定しています
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第2四半期の総売上高(Total Revenues)は98億2700万ドル、市場予想の118億3000万ドルを下回っている
- 2022年第2四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は1.50ドルの損失、市場予想は0.12ドル
となっている。
まとめ
4月に設立されて単体では初めてとなるワーナーブラザース・ディスカバリーの2022年第2四半期決算を確認してみたが、売上は市場予想を約20億ドル下回り、損益も約34億ドルの赤字、提供された見通しも引き下げられるといいところが無かったので、これでは冒頭に挙げた急落も残念ながら止む無しだろう。
年初来のWBD株と市場(S&P 500)の推移を見てみると
ここ最近やや上昇傾向にあったWBDだが決算を受けての急落で年初来(設立調整済)の株価は40%近い下落となり、市場と比べてもかなりの低パフォーマンスとなっている。
2023年夏にHBO MaxとDiscovery+を統合して重複するコストを削減する方向なのだろうが、そのため2022年にEBITDA損失のピークが発生するとしており、2022年中の業績・株価回復は難しいのではないだろうか。
無配当銘柄なので自分の配当金生活に直接の影響は無いのだが、WBD株の扱いについては注意しておいた方がいいかもしれない。