はじめに
先日2021年11月4日には自分の所有しているケロッグ(K)の2021年第3四半期決算発表があった。
自分の所有している銘柄の決算発表も進んでおり、やはりインフレによるコスト高が業績の重しとなっている企業が多いのだがケロッグはどうだったのか。
以下ケロッグの第3四半期決算内容について確認・整理しておく。
ケロッグ2021年第3四半期決算概要
以下の情報はケロッグの企業サイトより引用・抜粋。
- 2021年第3四半期の総売上高(Reported Net Sales)は36億2200万ドル、前年同期は34億2900万ドルで前年同期比5.6%増加
- 2021年第3四半期の一時項目を除く1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.09ドル、前年同期は0.91ドルで前年同期比19.8%増
- 2021年第3四半期の純利益(Net income attributable to Kellogg Company)は3億500万ドル、前年同期は3億5200万ドル
前年度より減少しているが、売上から製造コスト、管理コストを引いたOperating profitは前年比で製造コストが増えたにもかかわらず増加しており、また昨年はその他収入(Other income(expense),net)が7000万ドルあったことを考えるとかなり上手く第3四半期を乗り切った気がする。
2021年通期見通しは以下の通り。
Net Sales(売上)が2~3%と上方修正されているが、Operating profitはコスト高、サプライチェーン、労働紛争により売上高が相殺され据え置きとしている。
ここで言及されている労働紛争は日本でもワールドビジネスサテライトなどで報道されたテネシー、ペンシルベニア、ネブラスカ、ミシガンにある工場の約1400人の従業員のストライキのことだろう。
純利益(Net income attributable to Kellogg Company)のところで
「売上から製造コスト、管理コストを引いたOperating profitは前年比で製造コストが増えたにもかかわらず増加しており」
と書いたが、更なる管理コスト削減のためこれらの工場で医療保険や退職給付金、休暇などの削減を進めていることが原因らしい。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第3四半期の総売上高(Reported Net Sales)は36億2200万ドル、市場予想の35億4000万ドルを上回っている
- 2021年第3四半期の一時項目を除く1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.09ドル、市場予想の0.94ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてのケロッグの株価は
0.68%の下落。同日のダウ工業平均が0.09%下落、S&P 500が0.42%、NASDAQが0.81%それぞれ上昇とまちまちだったが、ケロッグ株はそれらと比べて良いとは言えない結果。市場予想を上回り、通期見通しも上方修正はしたが、先述の労働紛争が重しとなったのではないだろうか。
実際アナリストとのカンファレンスコールでもストライキに絡んで、在庫切れの可能性、通年見通しへの影響、マージンへの影響等の質問がなされていた。
基本的には、現在交渉中でありそのプロセスを尊重するため、ストライキが与える影響の詳細については説明しないというスタンス。ただ最高経営責任者(CEO)のSteve Cahillane氏はカンファレンスコールで「他の分野よりも挑戦的な分野が1つあり、それはシリアル事業でストライキのために明らかに悪化している」と述べている(昨年のケロッグの純売上高の約40%はシリアル事業)。
年初来から決算発表後も含めたケロッグの株価は
5月の決算発表時に大幅上昇してからは、8月にやや持ち直したものの基本的には右肩下がり。トウモロコシや食用油などの原材料の高騰、コンテナやドライバーの不足、ガソリン価格の上昇に伴う運輸コスト増が続いている中、さらにストライキが長引く可能性もあるので、通期見通しはやや上方修正されたものの今後の株価についてはあまり期待しない方が良さそうだ。