はじめに
先日
2020年6月25日結果発表のFRB銀行ストレステストの追加手法
で言及したFRBのストレステストの結果が発表された。自分が所有しているシティグループ(C)とJPモルガン・チェース(JPM)の個別の情報は別途確認するとして、まずはFRBが大手銀行に指示した内容についてまとめておくことにする。
ストレステスト結果に関する発表
以下は米連邦準備理事会(FRB)のサイトからの引用・抜粋。
- The Federal Reserve Board on Thursday released the results of its stress tests for 2020 and additional sensitivity analyses that the Board conducted in light of the coronavirus event.
連邦準備理事会は木曜日、2020年のストレステストの結果と、理事会がコロナウイルスイベントに照らして実施した追加のsensitivity analysesを発表しました。 - “The banking system has been a source of strength during this crisis,” Vice Chair Randal K. Quarles said, “and the results of our sensitivity analyses show that our banks can remain strong in the face of even the harshest shocks.”
「この危機の間、銀行システムは強さの源でした」と副議長のRandal K. Quarles氏は述べ、「私たちのsensitivity analysesの結果は銀行が最も厳しいショックに直面しても強いままであり続けることができることを示します。」
と述べているのだが、続いて冒頭に上げた追加のテスト(sensitivity analyses)の結果を以下の様に述べている。
- In aggregate, loan losses for the 34 banks ranged from $560 billion to $700 billion in the sensitivity analysis and aggregate capital ratios declined from 12.0 percent in the fourth quarter of 2019 to between 9.5 percent and 7.7 percent under the hypothetical downside scenarios. Under the U- and W-shaped scenarios, most firms remain well capitalized but several would approach minimum capital levels. The sensitivity analysis does not incorporate the potential effects of government stimulus payments and expanded unemployment insurance.
Sensitivity analysisでは、34銀行の貸倒損失は合計で560億ドルから7000億ドルの範囲であり、総資本比率は仮想的な下振れシナリオの下で、2019年第4四半期の12.0%から9.5%~7.7%に低下しました。U字型およびW字型のシナリオでは、ほとんどの企業は十分に資本化されたままですが、いくつかの銀行は最低資本水準*に近づきます。感度分析には、政府刺激策の支払いと拡大した失業保険の潜在的な影響は組み込まれていません。
*現在の最低資本水準は4.5%
この様な結果を受けて、
- For the third quarter of this year, the Board is requiring large banks to preserve capital by suspending share repurchases, capping dividend payments, and allowing dividends according to a formula based on recent income. The Board is also requiring banks to re-evaluate their longer-term capital plans.
今年の第3四半期に、FRBは大規模銀行に対し株式の買戻しを一時停止し、配当金の支払いを制限し、最近の収入に基づく公式に従って配当を認めることにより、資本を維持することを要求しています。FRBははまた、銀行に長期的な資本計画の再評価を要求しています。 - During the third quarter, no share repurchases will be permitted. In recent years, share repurchases have represented approximately 70 percent of shareholder payouts from large banks. The Board is also capping dividend payments to the amount paid in the second quarter and is further limiting them to an amount based on recent earnings. As a result, a bank cannot increase its dividend and can pay dividends if it has earned sufficient income.
第3四半期中、株式の買い戻しは許可されません。近年、株式の買戻しは大手銀行からの株主の支払いの約70%を占めています。FRBはまた、第2四半期に支払われる金額に配当金の支払いを制限し、さらに最近の収益に基づく金額に配当を制限します。その結果、銀行は配当を増やすことができませんが、十分な収入を得れば配当を支払うことができます。
としている。英語とその直訳では表現が固く分かりにくいので意訳してまとめると、
- 少なくとも7~9月(第3四半期)は増配や自社株買い再開の禁止
- 収入が十分であれば配当支払いは可だが、4~6月(第2四半期)の水準が上限。
ということになるらしい。
まとめ
発表が現地時間の米国市場閉場後だった(東部時間16時半)こともあり、所有銀行株の株価への影響は定かではないが、本日の取引で大きく下落するのだろう。
それよりもやはり懸念はしていたが配当据え置きは確定となってしまったか。2020年6月25日結果発表のFRB銀行ストレステストの追加手法をまとめた際に、
「Sensitivity Analysisの結果によっては、配当据え置きと言った可能性もあるのだろうか。さすがに減配や停止は無いと思うのだが…。」
と書いてはいたのだが。
とりあえず個別のシティグループ(C)とJPモルガン・チェースからの追加発表を注意することにしよう。配当据え置きに留まって減配や配当停止でないこと、そしてこれがあくまで「第3四半期中」の措置となる事を祈るのみ。