はじめに
昨日2019年7月11日は、ダウ工業平均が過去最高の27,000ドル台に到達したというニュースがあったにもかかわらず、自分のポートフォリオは下落。その要因の一つはブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)が3%超下落していたこと。
ただ、これはブリストル・マイヤーズ単体で何か不都合があったわけではなく、同業のメルク(MRK)は4.5%、イーライリリー(LLY)は4.11%、ファイザー(PFE)は2.45%とそれぞれマイナスになっている。理由を調べたところでは、昨日トランプ米政権が処方箋薬の価格引き下げに向けた主要提案を撤回したことに起因しているようだ。今後のために内容を整理しておくことにする。
昨日7月11日の米製薬株下落に至る直近の流れ
自分の理解では以下の様な経緯。
- そもそもトランプ氏は大統領選の公約として、医療保険制度改革いわゆる「オバマケア」の撤廃を挙げていた。オバマケアについては日本と米国の医療保険制度があまりに違い過ぎるので割愛。一点だけこの記事に関する内容での違いを述べると、日本の医療制度は国家の社会保障制度であるのに対し、オバマケアは民間の保険会社が担っている点を認識していると、今回の製薬株下落が分かりやすいかもしれない
- トランプ氏が大統領になってから、色々紆余曲折(ここでは省略)はありつつも、基本オバマケアの廃止を目指している
- オバマケアのいくつかある問題点の中で、今回は自己負担が高すぎる点への対策として、製薬会社が保険会社に巨額の「払戻金(リベート)」を支払うシステムを廃止し、高齢者向け医療保険(メディケア)の患者に直接還元されるようにする案を提出していた
- しかし7月8日、連邦地裁の判事は製薬会社に処方薬のテレビ広告で薬価を表示するよう義務付ける新規則は無効との判断を示し、予定されていた9日からの規則実施を差し止めた
- そして7月11日に、トランプ政権は処方箋薬の価格引き下げに向けた主要提案を撤回した
何故この流れで製薬株が下落したのか
自分の理解では、処方箋薬の価格引き下げに向けた主要提案を撤回したものの、高すぎる自己負担を減らすというトランプ政権の方針は変わらず、その対象が高齢者向け医療保険会社から製薬会社に向くという懸念が高まったためだと理解している。
実際アザー米厚生長官は11日、他国からのより安価な薬品輸入を認める方向で取り組んでいることを明らかにしている。
当然製薬会社とは異なり、医療保険各社の株価は昨日大幅上昇している。シグナ(CI)が9.2%、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)は5.5%、CVSヘルス(CVS.N)は4.7%と言った具合。
まとめ
こういった流れを受けて自分の保有しているBMY株をどうするか。今後薬品単価が下落して、BMYの売上/収益が減少、それに伴う株価の下落の可能性が高まったとは思う。
ただ、このいわゆる「オバマケア」問題は色々と議論が絶えない問題であるので、今後どう転ぶかは予想がつきにくい。2020年の大統領選の争点の一つにもなっており、大統領選の結果にも大きく依存するだろう。
今のところはこれまでのバイアンドホールド/長期投資のスタンスに従って、すぐに何かアクションを起こさないで様子を見ているのが無難だろう。実際に株価も急激に下落したわけでなく、3%程度の下落にとどまっているので、トランプ政権の政策が製薬業界に与えるインパクトについて自分の認識/想定が間違っている可能性も多分にあるのだから。