はじめに
先日動画配信ディズニー・プラスの発表があった際に、自分が保有しているウォルト・ディズニー、AT&Tを中心に動画配信サービス銘柄の整理をしたのだが、その中で触れていたHulu(フールー)株(非公開)に2019年4月15日に動きがあったのでまとめておく。
Huluの自社株買取詳細
以下は、ロイターの記事より引用。
- 米動画配信サービス、Hulu(フールー)は、通信大手AT&Tが保有するフールー株9.5%を14億3000万ドルで買い戻した
- フールーは、ネットフリックスやアマゾン・ドット・コムの「プライム・ビデオ」と競合。加入者は2500万人以上で、今年度の損益は15億ドルの赤字となる見通し
- 今回の取引では、フールーの企業評価額が150億ドルとなった。現在AT&Tの傘下にあるタイム・ワーナーがフールー株を購入した2016年の評価額は58億ドルだった
- 今回の取引により、フールーでは、ウォルト・ディズニー(DIS)の支配権が高まる。ディズニーは合弁事業を通じてフールー株60%を保有している
- フールー株の30%はコムキャスト傘下のNBCユニバーサルが保有。ディズニーとコムキャストは、合弁事業の契約に基づいて、AT&Tから買い取った株式の割り当て方法を決める
- 今回の株式取得が、フールーのコンテンツにどのような影響を及ぼすかは不明。AT&Tは独自の動画配信サービスを開始する準備を進めている
- AT&Tは、今回の株式売却で調達した資金を負債の削減に充てると表明。同社は昨年11月、非中核資産を見直し、フールー株の売却を検討する可能性があると表明していた
- ディズニーは先週、フールーの契約者数が2024年度までに4000万 – 6000万人に達し、2023年度か2024年度までに米国事業が黒字化するとの見通しを示した
Hulu自社株買い戻しによる自分の保有銘柄AT&T、ウォルト・ディズニーへの影響
今回のHulu(フールー)によるAT&T保有の自社株買い戻しによって主要株主は、
以前:ウォルト・ディズニー約60%、コムキャスト約30%、AT&T約10%
以後:ウォルト・ディズニー約70%、コムキャスト約30%
という事になる。
AT&TがHulu株を手放すという噂は、以前からあったのだがこのタイミングでウォルト・ディズニーが保有率を約70%にしたという事は、先日発表のあったディズニー・プラスとHuluの共存を図る方向なのだろうか、それとも両者の統合に向かう可能性もあるのだろうか。また残りの株主であるコムキャストとの関係も気に掛かるところ。現時点ではコムキャストはHulu株を手放す予定はないらしいのだが。
ただ上のロイター記事にある、
- ディズニーは先週、フールーの契約者数が2024年度までに4000万 – 6000万人に達し、2023年度か2024年度までに米国事業が黒字化するとの見通しを示した
という点に関しては、アップルTVプラスやディズニー・プラス、そして今年に開始が予定されているAT&Tの動画配信サービスを踏まえた上での見通しなのだろうか。企業がするコメントがいつも正しいとは限らないので、鵜呑みにせずに他の情報ともすり合わせる必要があるだろう。
一方でAT&Tは、Hulu株を手放すことで14億3000万ドルのキャッシュを手に入れることになる。AT&Tは昨年のタイム・ワーナー買収などに起因する負債が直近で1700億ドルに上っているので、それを圧縮/削減する施策の一環なのだろう。例えば最近では、AT&T有料テレビ局「HBOヨーロッパ」を売却する可能性について社内で検討を行ったと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じている(売却先としてはHBOと提携関係にある米ケーブルテレビ大手コムキャスト(CMCSA)傘下の英有料放送局スカイが有力)。
またAT&TがこのままHulu株を10%所有していたとしても、あまりメリットが思い付かないので、AT&TがHulu株を手放したのは、個人的には納得感がある。
恐らくこの発表で、ウォルト・ディズニー、AT&T両社の株価への短期的な影響は微々たるものだと思うが、今後の動画配信の動向への影響はあると思うので、頭には入れておく必要があるだろう。