はじめに
自分の所有銘柄であるワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)は2025年12月5日(金)にネットフリックス(NFLX)による買収が発表されたのだが、そこから
ネットフリックスがワーナーブラザース買収を発表(2025/12)
買収発表後も落ち着かないワーナーブラザース動向(2025/12)
ワーナーブラザースがパラマウントの買収案を拒否(2025/12)
でまとめた様に、ワーナーブラザース買収の有力候補であったパラマウント・スカイダンス(PSKY)による敵対的買収、そしてワーナーブラザースのパラマウント買収案を拒否という流れとなっていた。その際ワーナーブラザースがパラマウントの買収案を拒否した理由の一つとして、
- PSKYは提案されている取引がエリソン家(Ellison Family)からの「完全なバックアップ」を受けているとWBDの株主に繰り返し誤解させてきた。しかし、そのようなことは一度もなかった
とエリソン家(Ellison Family)のバックアップがなかったことを挙げていた(PSKY代表のDavid Ellison氏はオラクル(ORCL)会長で資産家として知られるLally Ellison氏の息子)。
そして12月22日(月)にPSKYが敵対的買収の修正案をワーナーブラザースに通知したことが米証券取引委員会(SEC)への提出資料により明らかになった。その中ではワーナーブラザースが発表したPSKY買収案拒否の理由に対して修正を施したもので、拒否の理由の一つであったエリソン家(Ellison Family)からのバックアップについて掲題の様にオラクル会長のLally Ellison氏の個人保証が盛り込まれている。
以下、パラマウント修正案の目玉であるオラクル会長のLally Ellison氏の個人保証を中心に関係各社の動向について確認しておく。
2025年12月22日のパラマウントによるワーナーブラザース買収修正案の一部であるLally Ellison氏の個人保証について
以下はパラマウント・スカイダンス企業ページの米証券取引委員会への提出資料より引用・抜粋。
下記エリソン家(Ellison Family)のバックアップの様に、ワーナーブラザースがパラマウントの買収案を拒否した際の発表に対して、多くの項目に対してMisleading claim(誤解を招く主張)として反論/修正案を提示している。

- ワーナーブラザースの買収提案拒否時のコメント
- (PSKY提案の)取消可能信託は、支配株主による担保付きコミットメントの代替にはならない。信託の資産と負債は公表されておらず、変更される可能性がある
- この条件付きコミットメントに関して提供した文書には、お客様、株主、そして当社を危険にさらすような欠陥、抜け穴、制限が含まれている
- パラマウントの主張/修正案
- Ellison Family Trust(エリソン家信託)はパラマウントの過半数を所有しており、11億6000万のオラクル株と数百億ドル規模のその他の資産を含んでいる
- エリソン家信託は1988年以来継続して数千の取引をしており、それにはスカイダンスによるパラマウントの買収やTwitterへの10億ドルの投資などが含まれる
- 信託が義務を回避しているのではないかという懸念は、信託が何十年にもわたって一貫して義務を果たしてきたことを考えると不当である
- WBDがラリー・エリソンからの個人保証を考えていたなら、それを要求すべきだった。WBDは自らの希望を伝える代わりに、Netflixからの劣った提案を株主に押し付けた
- ラリー・エリソンは-伝えられたかどうかに関わらず-潜在的な懸念を軽減するため、パラマウントの1株当たり30ドルの現金買収提案に対する404億ドルの株式資金調達を個人的に保証するという前例のない措置を講じることで、この主張を無効にする
-伝えられたかどうかに関わらず-(Communicated or not)という一文に関しては後述のパラマウントの発表を参照。
関係各社の動向・株価
【パラマウント・スカイダンス】
- 修正案の概要を発表
- 引き続き WBDの発行済み株式の100%を1株当たり30ドルの現金で買収する提案を継続する
- Larry Ellison氏の個人保証については、WBDがネットフリックスとの取引に同意するまでの12週間の間にWBDやその顧問からパラマウントに対して一切提起されなかったが、パラマウントはWBDが現在表明している懸念に対処することを選択し、WBD株主への提案を次のように修正する
- 取消不能の個人保証
ラリー・エリソン氏は、今回の買収提案およびパラマウントに対する損害賠償請求に対するエクイティファイナンスの404億ドルに対して取消不能の個人保証を提供することに同意した - 取消可能信託
エリソン氏は、取引の進行中にEllison Family Trust(エリソン家信託)を取り消したり、その資産を不利に移転したりしないことに同意した - 信託資産
パラマウントは、Ellison Family Trust(エリソン家信託)がオラクルの普通株式約11億6000万株を所有していること、エリソン家信託のすべての重要な負債が公開されていることを確認する記録を公開 - 取引条件
暫定的な運営における「柔軟性(flexibility)」に対するWBDの漠然としたニーズに対処するため、パラマウントの改訂された案では、債務借り換え、暫定的な運営に関してWBDにさらに改善された柔軟性を提供 - 解約料金
パラマウントは取引解約料を50億ドルから58億ドルに増額 - 取引条件
本買収提案は、WBDがグローバルネットワーク事業の100%を引き続き保有することを条件としている。その他の条件に変更はない
- 取消不能の個人保証
- 公開買付けの期限を2026年1月21日まで延長

【ワーナーブラザース・ディスカバリー】
- パラマウントから敵対的買収提案の修正案を受領したことを発表(恐らく米国株式市場開場後)
- 取締役会は、受託者責任に従い、独立した財務および法律顧問と協議の上、ワーナーブラザース・ディスカバリーとネットフリックスとの契約の条件に従い、パラマウント・スカイダンスの提案を慎重に検討する
- 取締役会はネットフリックスとの合併契約に関する勧告を変更する予定はない
- ワーナーブラザース・ディスカバリーはパラマウントの修正案を検討し、その検討の完了後に取締役会の推奨を株主に通知する

【ネットフリックス(NFLX)】
- パラマウントの修正案に対するコメントは現在のところ無し
- ただ同日米証券取引委員会への提出資料で、約590億ドルのつなぎ融資の一部を変更したことが報告されており、買収取引の現金部分や関連する手数料、経費の支払いに充当されるとみられている

まとめ
以上ワーナーブラザースの買収に関して、Lally Ellison氏の個人保証を中心としたパラマウントの修正案、関係各社の動向について整理してみた。
言った言わないの食い違いはあるものの、パラマウントの修正案はワーナーブラザースがパラマウントの提案を却下した理由についてアドレスしており、今後の行く末は不透明。ワーナーブラザースの取締役会はパラマウント・スカイダンスの提案を慎重に検討するとした一方で、ネットフリックスとの契約に関する勧告を変更する予定はないとしているが、パラマウントの修正案を大口株主が支持する可能性もあるだろう。
今回ワーナーブラザースのパラマウントの修正案検討に関する期限は明示されていない(前回の提案時は10営業日以内に株主に通知と明示)が、いったいどの様な結果を迎えるのだろうか。引き続き状況を注視していきたい。