はじめに
2025年4月17日(木)の米国株式市場は
ここ最近の例にもれず方向感に乏しい不安定な動きながら、S&P 500、NASDAQ総合はほぼ前日比横ばいだったが、ダウ工業平均のみ前日比1%を超えるマイナスで取引を終えている。
これは取り立ててダウ工業平均銘柄それぞれのパフォーマンスが悪かったわけではなく、掲題に挙げたダウ工業平均の算出方法によるもの。
以下、5年以上前に書いた同様の内容を見返しつつも、ダウ工業平均の算出方法と2025年4月17日にダウが大幅安になった原因について整理しておく。
ダウ工業平均の算出方法概要
ダウ・ジョーンズ工業平均株価は、同業指数であるS&P 500やナスダック総合指数とは異なり、指数に含まれる企業の時価総額ではなく、構成銘柄の1株当たり価格を使用して計算される。
ダウ工業平均の構成銘柄は30と、S&P 500の約500銘柄、NASDAQ総合のNASDAQ市場に上場している3000超(金融銘柄は除く)銘柄に比べると著しく少ない。
また指数平均は、ダウ平均構成銘柄の株価に基づいて変動する、いわゆる「ダウ除数」を用いて算出される。現在のダウ除数は約0.163で、これはダウ平均構成銘柄の株価が1ドル変動するごとに、指数が約6.1ポイント変動することを意味する。
2025年4月17日(木)のダウ工業平均の大幅下落の原因
2025年4月17日の米国株式市場開場前時点での、上述した算出方法によるダウ工業平均に占める割合の多い銘柄は以下の通り(米yahoo!financeより)。
ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が9.06%と最大のウエイトを占めていた。S&P 500やNASDAQ総合では大きなウエイトを占める時価総額が多い企業におけるダウ工業平均のウエイトはマイクロソフト(MSFT)が3位(5.75%)、アップル(AAPL)が15位(2.99%)、アマゾン(AMZN)が17位(2.70%)、エヌビディア(NVDA)が23位(1.62%)となっている(ちなみにこれら4社の時価総額はダウ工業平均30銘柄全体の時価総額の50%を超えている)。
そして2025年4月17日の米国株式市場では、ダウ工業平均で最大のウエイトを占めていたユナイテッドヘルス・グループが決算発表でコスト増から年間利益見通しを下方修正したことで
と前日の株価585.04ドルから130.93ドル(22.38%)下落の454.11ドルとなっている。
上述した様にダウ平均構成銘柄の株価が1ドル変動するごとに指数が約6.1ポイント変動するので、ユナイテッドヘルスの下落幅は130.93×6.1=798.673とダウ工業平均を約800ポイント押し下げたことになる。つまりユナイテッドヘルスの下落が無ければダウ工業平均はプラス圏だったことになる。
まとめ
改めてダウ工業平均の算出方法と、2025年4月17日にダウ工業平均がS&P 500、NASDAQ総合に比べて突出して下落幅が大きかった理由について確認してみた。
ダウ工業平均の算出方法が時価総額ではなく株価に基づいていること、そしてウエイトが一番大きかったユナイテッドヘルスが大幅下落したことが、今回ダウのみ大きく下落した原因となっていた。
ダウ工業平均は米国市場の代表的な株価指数であり、自分の米国株ポートフォリオには時価総額の大きいハイテク銘柄がないので、他の指数に比べてハイテク銘柄の影響が比較的少ないダウ工業平均に重きを置きがちであるのだが、今回の様なケースがあることを考えると構成銘柄が多く算出方法も時価総額の加重平均であるS&P 500を中心に見ていく方が、米国市場全体の傾向を把握するにはよいのかもしれない。