はじめに
2024年10月30日(水)には自分の所有しているクラフト・ハインツ(KHC)の2024年第3四半期決算発表があった。
前回の四半期決算時では売上は市場予想に届かず、通年の売上見通しも下方修正したのだが、EPSは市場予想を上回り通年見通しを堅持し、利益率が改善したことから約4%上昇し
「今後のクラフト株だが決算は無難に乗り切り今後にやや期待が持てる気もする一方で、市場の不安定さが気にかかる。また、決算は無難に乗り切ったとはいえ、年初あるいは第1四半期決算前の株価水準は下回っている。何とか年初と同等の株価水準まで回復してくれることを願いたい。」
と書いていたのだが、今回の四半期決算そして株価はどうなったのか。以下クラフト・ハインツの決算内容を確認し整理しておくことにする。
クラフト・ハインツ2024年第3四半期決算概要
以下はクラフト・ハインツの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第3四半期の売上高(Net Sales)は63億8300万ドル、前年同期は65億7000万ドルで前年同期比2.8%減
- 2024年第3四半期の同社帰属の純利益(Net income/(loss) attributable to common shareholders)は2億9000万ドルの損失、前年同期は2億6200万ドルで前年同期比210.7%減
- 2024年第3四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.24ドルの損失、前年同期は0.21ドルで前年同期比214.3%減
- 2024年第3四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.75ドル、前年同期は0.72ドルで前年同期比4.2%増
同社帰属の純利益及び希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)が前年同期比で大きく減少しているのは今四半期に14億ドルの一時的な非現金減損(Lunchables(子供用ミールキット)ブランドと欧州における会計上の減損)を計上したため。減損費用を除くと営業利益は1200万ドル増加。
2024年見通し
2024年通期の見通しについては以下の通り。
- Organic Net Sales Growth(既存事業成長率):-2~0%(前回と変わらず)
- Adjusted Operating Income(調整後営業利益率):1~3%(前回と変わらず)
- Adjusted EPS(調整後EPS):1~3%(前回と変わらず)
いずれも水色太字のレンジは前四半期と変わっていないのだが、以前にはなかったLow End(下限)という言葉が追加されている。
その他
その他決算及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。決算資料の説明は書類で提示され、カンファレンスコールは質疑応答のみ。
- 2024年第3四半期の製品価格は1.2%上昇、販売数量は3.4%減少
- 回復には当初の予想よりも時間がかかっているが、当社は長期戦略を見失っていない。収益性の高い成長を推進し、強力なキャッシュフローを生み出し、株主に資本を還元する能力に自信を持っている
- 質疑応答
- (減損を計上した)Lunchablesブランドについて
- 第3四半期、Lunchablesの売上は約15%減少
- Lunchablesは我々の事業の非常に重要な部分であるが現状問題がある
- 誤解を招くような利益団体から受けた否定的な評判が長引いているように見えること(4月初めに、消費者監視団体がブランドには鉛とナトリウムが多く含まれていると警告)
- この(子供用ミールキット)カテゴリに競合企業が参入し始めている
- この四半期に限った話だが特定のサプライヤーの原料供給の問題
- Lunchablesの回復には時間がかかり、緩やかなものになると予想されるため今四半期に減損費用を計上した
- (減損を計上した)Lunchablesブランドについて
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第3四半期の売上高(Net Sales)は63億8300万ドル、市場予想の64億2000万ドルを下回っている
- 2024年第3四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.75ドル、市場予想の0.74ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてクラフト・ハインツ株は
前日比3.07%の下落。同日の米国市場も
下落だったもののクラフト株の下落幅は大きい。市場予想を下回る売上、通期見通しが下限に近くなる見込み、不調のブランドの回復に時間がかかりそうなど、今後に期待が持ちにくいためこの下落は止む無しという気がする。むしろよくこの程度の下落にとどまったとも言える。
年初来のクラフト・ハインツ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
第2四半期決算を受けて上昇したものの、その後は市場が8月頭、9月頭の大幅下落はあったものの全体的には上昇傾向だったのに対し、クラフト株はほぼ横ばいと第2四半期決算後の願いは叶わず。そして今回の決算を受けての下落で第2四半期決算後の株価水準も下回ってしまっている。
今後のクラフト株だが、決算内容を見る限りではとても期待は持てそうにない。何とかこの株価水準を維持してくれることを願うのみか。