米イラン2週間の停戦合意発表と市場の動き(2026/4)

はじめに

米東部夏時間2026年4月7日(火)の午後6時32分に(日本時間では4月8日午前7時32分)米トランプ大統領が自身のSNSにイランとの2週間の停戦に合意したと投稿し、その約40分後にはイランのアラグチ外相もSNSにイラン・イスラム共和国最高国家安全保障会議による声明として停戦を受け入れることを発表している。

以下、両者のSNS投稿の内容と、それを受けて4月8日(水)の市場の反応について確認し、整理しておくことにする。


停戦合意に関する米トランプ大統領のSNS投稿概要

米東部夏時間2026年4月7日(火)の午後6時30頃のTruth Socialへ投稿の概要。

  • パキスタンのShehbaz Sharif首相及びAsim Munir陸軍元帥との会談で、彼らが今夜イランに送られる破壊的な攻撃を差し控えるよう要請したこと、そしてイラン・イスラム共和国がホルムズ海峡の完全かつ即時かつ安全な開放に同意することを条件として、私はイランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する
  • これは双方の停戦となる。その理由は、我々は既に全ての軍事目標を達成し、さらにそれを上回る成果をあげており、イランとの長期平和、そして中東の平和に関する最終的な合意に向けて大きく前進しているからだ
  • 我々はイランから10項目の提案を受け取り、それが交渉の実現可能な基盤であると確信している
  • 過去の様々な争点のほぼ全てについて米国とイランの間で合意が得られているが、2週間の期間があれば合意を最終決定し、履行することが可能になる

停戦合意に関するイランのアラグチ外相のSNS投稿概要

トランプ大統領のSNS投稿の約40分後にXへ投稿。

  • イラン・イスラム共和国最高国家安全保障会議を代表して声明(Statement on behalf of the Supreme National Security Council of the Islamic Republic of Iran)
  • 米国による15項目提案に基づく交渉の要請、米国大統領によるイランの10項目提案の枠組みを交渉の基礎として受け入れるという発表を考慮し、イラン最高国家安全保障会議を代表して、イランに対する攻撃が停止されれば、我が強力な軍隊は防衛作戦を停止することをここに宣言する
  • 2週間の間、イラン軍との連携と技術的な制約への十分な配慮により、ホルムズ海峡の安全な通過が可能になる

その他主な関連事項

その他主な関連事項として以下の様な出来事もあった。

【4月8日の米国市場開場前】

  • トランプ大統領のTruth Socialへの投稿
    • イランに軍事兵器を供給する国は、米国に販売されるすべての商品に対し、直ちに50%の関税を課される。例外や免除は一切認められない!
  • 米イランの停戦合意の後もイスラエルによるレバノンへの攻撃は続き、8日には過去最大規模の攻撃を実施

【4月8日の米国市場開場中】

  • イスラエルのネタニヤフ首相のテレビ演説
    • 米国とイランの停戦合意はイスラエルが全面的に協調した上で成立した
    • ただし停戦合意にはレバノンの親イラン武装組織ヒズボラは含まれていない
    • 今回の停戦合意は紛争の終結を意味するものではない。我々の指は引き金にかかっている
    • イランの濃縮ウランは、合意もしくは武力によって排除されるべきだ
  • ホワイトハウスのレビット報道官の記者会見コメント
    • イラン側の当初の計画は受け入れられず却下されたが、その後より合理的かつ簡潔な計画を提示し、最終的に合意に至った
    • レバノンは停戦合意の条件には含まれていない
    • イランとの第1回協議は11日に行わ、バンス副大統領が率いる交渉チームをパキスタンに派遣する
    • ホルムズ海峡については船舶交通量の増加を確認しており、トランプ大統領は再開を期待している
    • 大統領の当面の最優先事項は、通行料などのいかなる制限もなく海峡を再開することだ
    • 大統領のレッドライン(越えてはならない一線)は変わっておらず、イランは濃縮ウランの備蓄を引き渡す意向を示した
  • イランのガリバフ国会議長のSNSへの投稿
    • 停戦提案の3項目でこれまでに違反があった
    • 交渉の実行可能な基盤は交渉が始まる前から既に公然と、また明確に破られている
    • このような状況下では2国間の停戦や交渉は不合理だ
    • 停戦条件の下でイランはウラン濃縮の継続が認められている
  • バンス副大統領の記者団へのコメント
    • イラン側は協定にレバノンも含まれていると考えていたようだが、実際には含まれていない
    • 合意を破れば深刻な結果を招くことになる
    • イランは次にステップに進まなければならない。トランプ大統領には攻撃に逆戻りする選択肢もある

【4月8日の米国市場閉場後】

  • イラン国営メディアがホルムズ海峡を再び封鎖したとの報道
  • ホワイトハウスのレビット報道官の記者会見コメント
    • 受け入れることはできない。イランの発言とは裏腹に海峡での航行は続いている
    • (石油タンカーなどはホルムズ海峡での航行を続けており)イランメディアの報道は虚偽だ
    • トランプ大統領がイラン側に責任を負わせるだろう
  • トランプ大統領のTruth Socialへの投稿
    • 万が一、(可能性は極めて低いが)何らかの理由で合意が履行されない場合、これまで誰も見たことのないほど大規模で、より強力で、より効果的な戦闘(Shootin’ Starts)が始まる

2026年4月8日の市場の動き

米国主要3株式指数

米イランの2週間の停戦合意を好感して、主要3株式指数はいずれも開場直後から2%を超える大幅高となり、ほぼ変わらずの水準で取引を終えている。イスラエルによるレバノンへの攻撃継続、そしてそれに伴う停戦合意破綻への懸念は、少なくとも4月8日は米株式市場の重しとはなっていない。

米国10年債

開場直後から利回りを大きく下げ(債権買い)、その後はやや利回りが上昇したもののその水準での取引で終えている。米イランの2週間の停戦合意を受けてFRBの利下げ可能性がやや高まったためだろう。

とはいえ2月末の4%を切る利回りと比べると大幅に高い水準であり、FRBの利下げ可能性がやや高まったとはいえ、CMEのフェドウォッチツールでは未だ年内の利下げは有力視されていない。

ドル円為替

トランプ大統領のSNS投稿前も1ドル=160円近辺から159円半ばまでややドル安傾向だったが、投稿の後は1ドル=158円台に突入し、一時1ドル=157円台に。ただ、その後はイスラエルによるレバノン攻撃を協定違反としてイランがホルムズ海峡を閉鎖するとの報道もあってジリジリとドル高にとなって再び1ドル=159円近辺の動きとなっている。

ニューヨーク原油先物

トランプ大統領のSNS投稿前も1バレル=117ドル半ばの高値から111ドル程度まで下落傾向だったが、投稿を受けて急落し1バレル=91ドル台に。しかしその後はイスラエルによるレバノンへの攻撃の継続、それを受けてホルムズ海峡閉鎖の報道などがあり1バレル=92ドル~98ドルで方向感が定まらない荒い動きの後は97ドル半ばでの推移が続いていたが、米国時間の朝になると1バレル=99ドル台まで上昇している。


まとめ

以上、現地時間2026年4月7日発表の米イランの停戦合意発表及びそれを受けての4月8日の市場の動きについてまとめてみた。

4月1日のトランプ大統領の演説が期待外れなものに終わり、不透明感さが強まっていた状況からは事態鎮静化への大きな進展と言えるだろう。

ただし米国株式市場は大幅反発となったものの、その後も取引が続いていたドル円為替や原油先物価格はイスラエルによるレバノンへの攻撃を巡って停戦合意違反が取り沙汰され、ホルムズ海峡閉鎖の報道もあって、落ち着かない動きとなっている。

また米・イラン双方の発言を見ると、停戦合意の範囲やウラン濃縮の扱いなど隔たりは大きい様に思われ、今後の停戦交渉は難航も予想される事も考えると、決して安心できる状況になったとは言えない。

2週間の停戦合意がなされたとはいえ事態が決着した訳ではなく、今後交渉がどの様に進展するかについて注意をする必要があるだろう。何とかこれを契機として、事態が鎮静化へと向かうことを願いたい。

最後に4月8日の自分の米国株ポートフォリオを見てみると

全面高という訳ではなく、大きく下落している銘柄も散見される。

エクソン・モービル(XOM)は停戦合意を受けた原油価格下落により4%を超える大幅下落。またイランへの攻撃期間中に堅調な動きをしていたAT&T(T)は2.5%近く、ダウ・インク(DOW)(3月に月間で35%超の上昇)は5%を超える下落となっている。これらの銘柄が3月の大幅下落を避けられた要因にもなっていたので、反動で下落するのは致し方ないところだろう。

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