米2026会計年度予算現状と政府機関閉鎖の可能性(2026/1)

はじめに

米2026会計年度予算についてはつなぎ予算案が

つなぎ予算不成立による米政府機関閉鎖と米国市場(2025/10)

でまとめた様に2025年9月末までに可決されず、一部政府機関の閉鎖を招き米株式市場や経済に大きな影響を及ぼした。そして過去最長の43日間の政府機関閉鎖を経て

米2026会計年度つなぎ予算成立と直後の市場(2025/11)

ようやく1月30日(金)までのつなぎ予算案が成立している(また12ある本歳出法案のうち退役軍人・軍事建設、農業、立法府の3歳出法案も可決)。

再びつなぎ予算の期限が迫ってきたので、米2026会計年度つなぎ予算の現状について整理しておくことにする。


現地時間2026年1月23日時点までの米2026会計年度予算の主な動向

【上院/下院での可決状況】

  • 2026年1月8日
    • 米下院が商務・司法・科学、エネルギー・水開発、内務・環境の3歳出法案を可決(賛成397、反対28)
  • 2026年1月14日
    • 米下院が金融サービス・一般政府、国家安全保障、国務省関連の3歳出法案を可決(賛成341、反対79)
  • 2026年1月15日
    • 米上院が商務・司法・科学、エネルギー・水開発、内務・環境の3歳出法案を可決(賛成82、反対15)
  • 2026年1月22日
    • 米下院が国防、労働・保健福祉・教育の2歳出法案を可決(賛成341、反対88)
    • 米下院が国土安全保障の歳出法案を可決(賛成220、反対207)
    • これで米下院は12歳出法案を全て可決したことになる
  • 2026年1月23日
    • トランプ大統領が商務・司法・科学、エネルギー・水開発、内務・環境の3歳出法案に署名

まとめると米2026会計年度予算は

  • 12の歳出法案のうち、6法案が大統領の署名まで済んで成立
  • 残り6の歳出法案は
    • 下院は可決済み
    • 上院の審議・採決待ち

という状況。基本的には前回のつなぎ予算成立時にトランプ政権が提案していたいくつかの極端な削減案を共和党が妥協して撤回または修正しており、思ったよりもスムーズに審議がされていた印象。

ただ下院では太字とした国土安全保障の歳出法案が割と僅差での可決となっており、これは国土安全保障省傘下の移民・関税執行局(U.S. Immigration and Customs Enforcement:ICE)による取り締まりの中でRenée Good氏が1月4日にミネアポリスで射殺されたことで抗議活動が起こり、ICE予算を巡って与野党が対立したことが影響したと思われる。

この時点では民主党が再びの政府機関閉鎖を避けるため、たとえ国土安全保障の歳出法案が上院で合意に至らずとも、代替案として現在の支出水準を継続できるようにする暫定的な支出法案を提出し、前回10月からの様な政府機関閉鎖には至らないのではないか、という見方が有力だった。


現地時間2026年1月24日以降の米2026会計年度予算の主な動向

しかし2026年1月24日にミネアポリスでの抗議活動中に、Alex Pretti氏が連邦捜査官に射殺されるという事件が発生し、

  • 2026年1月26日
    • 民主党のチャック・シューマー上院院内総務が以下の声明を発表
      • ICE(移民・関税執行局)の虐待を抑制するには(現在の国土安全保障歳出法案は)不十分として、国土安全保障省の予算が含まれる法案には反対する
      • 国土安全保障以外の5つの歳出法案については、迅速に可決させる準備がある
      • もし政府閉鎖が発生すれば、それは国土安全保障予算を切り離さない共和党側の責任である
    • 共和党のジョン・スーン上院院内総務のコメント
      • 1月30日は厳守すべき期限である
      • 現時点では国土安全保障予算を切り離す計画はない

と先週とは打って変わって1月30日の期限までに予算が成立するかどうかは極めて不透明な状況になっている。また与野党の相違に加えて、手続き的にも米下院は現在2月2日まで部分休会中であり、上院で内容が修正された場合には再度下院での承認が必要となることも1月30日までの予算成立を難しくしている。


まとめ

以上、米2026会計年度予算の現状についてまとめてみた。

2026年1月23日までは米2026会計年度予算が1月30日までに成立することが楽観視されていたのだが週末に状況が一変し、Polymarket(分散型予測市場プラットフォーム)では

1月31日からの米政府一部機関閉鎖の可能性が約10%から約80%へと急上昇している。

12歳出法案のうち半分は既に承認されているのだが、再び一部政府機関閉鎖となるのか、その場合どれぐらいの閉鎖になるのか、そして米国経済/市場への影響がどう出るのかに注意しておきたい。

特に米国市場に関しては昨年の政府機関閉鎖で経済指標発表に不都合を生じた雇用統計や消費者物価指数(CPI)を管轄する労働(省)に関する歳出法案は未承認なのが気にかかる(国内総生産(GDP)や個人消費支出(PCE)価格指数を管轄する商務(省)に関する歳出法案は承認されている)。

何とか期限内の予算成立あるいは政府機関閉鎖が短く済んで、米国経済/市場への影響が軽微なものに留まる事を願いたい。

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