トランプ大統領就任直後の市場と自分の米国株(2025/1)

はじめに

現地時間2025年1月20日(月)にトランプ氏が米47代目の大統領に就任した。

1月20日はMartin Luther King, Jr. Dayで米市場は休場であったが、翌21日の米市場はどう動いたかそして自分の米国株ポートフォリオにはどの様な変化があったのか、トランプ氏が大統領選に勝利した直後の傾向と違いはあったのか等について以下に整理しておく。

ちなみに米企業では主に2024年第4四半期(2024年10~12月)の決算発表が始まっているが、自分の所有銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)とシティグループ(C)の銀行株が1月15日に決算を発表したのみで、その他銘柄は1月22日以降に発表を予定しているので、21日の動きには決算発表は直接的な影響を及ぼしていない。


トランプ氏大統領就任直後(2025年1月21日)の市場の動き

米国主要3株式市場

米株式市場はトランプ大統領が様々な施策を打ち出したものの、以前に公約していた一律関税措置を就任と同時には講じなかった(ただし、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を2月1日に課すことを検討)ことで安心感が広まったことで概ね上昇。

ダウ工業平均に比べてS&P 500、NASDAQ総合の伸びが小さい原因の一つとしては、Jefferiesがアップル(AAPL)の投資格付けをHoldからUnderperformにアップデートしたことで前日比3%を超える下落となったため。

米国10年債

取引中は細かな動きに終始したが、利回りは前日の4.61%から4.57%まで低下。株式市場と同様に一律関税措置を就任と同時には講じなかったことで、15日のCPI発表を受けて以来の利回り低下傾向(4営業日連続)が維持された。

ドル円為替

為替市場は米国株式市場、米債券市場とは異なり1月20日も取引がされており、就任式後には1ドル=156円台から154円台を行き来する不安定な動きだったが、時間が経つにつれて155円台半ばから後半にかけての推移が中心。とはいえ追加関税を睨んでか156円台となる局面もあるなど、やはり不安定な動きが続いている。


トランプ氏大統領就任直後(2025年1月21日)の自分の米国株ポートフォリオ

トランプ氏が大統領に就任した直後の自分の米国株ポートフォリオは以下。

トランプ氏が大統領選に勝利した直後の動きとも比べてみる。

【Industrialsセクター:ボーイング(BA)、GE(GEエアロスペース)、ワブテック(WAB)】

大統領選直後はGEが3.14%、ワブテックが4.00%上昇。ボーイングは下落したものの原因は主要サプライヤーのスピリット・エアロシステムズが継続企業として継続できるかどうか「かなり疑わしい」と警告を発表した個別要因によるもの。

今回は3企業とも2%前後以上の上昇(S&P Industrialsセクターは2.03%の上昇)となっており、Industrialsセクターは大統領選後と傾向は変わらず市場に期待を寄せられている様だ。

【Healthcareセクター:ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)、GEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)】

大統領選直後はブリストルが1.2%、GEヘルスケアが1.58%の下落となり、その後ケネディ氏が米保健福祉省(HHS)長官に指名されたこともあって、トランプ政権下での業界先行きが懸念されていた。

今回は意外にもブリストルが1.33%、GEヘルスケアが3.07%の上昇。他のヘルスケア銘柄も概ね上昇(S&P Healthcareセクターは1.65%の上昇)しており、大統領選直後とは少し異なる動き。またWHOからの脱退表明は特に材料視はされていない模様。

【Financial Servicesセクター:シティグループ(C)、JPモルガン・チェース(JPM)】

大統領選直後はシティが8.42%、JPモルガンが11.54%の大幅上昇となっていたが、今回もシティが2.10%、JPモルガンが1.49%の上昇。S&P Financial Servicesセクターが0.84%上昇だったことと比べると両社とも堅調に株価を伸ばしている。

既に決算を終えている両社だが、年初来で見るとS&P 500が2.41%上昇しているのに対してJPモルガンは10.47%、シティに至っては16.03%上昇と大きく市場を上回るパフォーマンスとなっている。変わらずトランプ政権下での銀行規制緩和に期待が寄せられているのだろう。

【Utiitilesセクター:GEベルノバ(GEV)】

大統領選直後のGEベルノバは6.5%と大きく上昇していたのだが、今回も3.63%の大幅上昇。S&P Utilitiesセクターは上昇しているが1.55%に留まっており、GEベルノバ個別に拠る所が大きいと思われる。

直近では1月8日にトランプ氏が、自分の時代には風力発電所が建設されないようにすると発言したことで下落したものの、AIに関連したデータセンター(つまり電力)需要が大きくなるだろうという見込みは変わっておらず、年初からの株価はS&P 500の2.41%上昇対して25.96%上昇、過去1年では195.01%上昇となっている。

【Consumer Defensiveセクター:ケラノバ(K)、クラフト・ハインツ(KHC)、コカ・コーラ(KO)、WKケロッグ(KLG)、モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)、アルトリア・グループ(MO)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、フィリップ・モリス(PM)】

大統領選直後はほぼ横ばいから下落だった自分のConsumer Defensiveセクター銘柄だったが、今回も一部銘柄を除いて自分の所有銘柄はパッとせず(S&P Consumer Defensiveセクターは1.01%上昇)。前回と傾向が変わらなかったことから、やはり今後の関税措置が及ぼす影響に対する懸念は根強いのだろう。

【Basic Materialsセクター:ケマーズ(CC)、コルテバ(CTVA)、デュポン・ドゥ・ヌムール(DD)、ダウ・インク(DOW)】

大統領選直後はまちまちだったが、今回はいずれも市場と同程度に上昇。S&P Basic Materialsセクターも1.26%上昇となっており、就任と同時の関税措置が無かったことが追い風になったと思われる。ただし、今後の関税政策によってはまだまだ予断を許さないだろう。

【Communicationsセクター:チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)、ウォルト・ディズニー(DIS)、AT&T(T)、ワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)】

大統領選直後はいずれも上昇し、今回はチャーターを除いた3銘柄が上昇。S&P Communicationsセクターも0.92%上昇となっている。これがセクターの特性なのか市場の上昇に伴ったものなのかは判断が難しいところ。

【Energyセクター:エクソン・モービル(XOM)】

大統領選直後は市場の上昇には及ばなかったものの上昇していたのだが、今回は0.76%の下落。同業他社も

ほぼ横ばいから下落となっており、S&P Energyセクターは0.64%下落とS&P各セクターの中で唯一前日比で下落している。これはトランプ大統領が国家エネルギー緊急事態を宣言し、過剰な規制を撤廃し、気候変動と戦うための国際協定から米国を脱退させることで、米国の石油・ガス生産を最大化する計画を発表したことで、米国における生産量が既に記録的な高水準にある中で原油価格が下落し、各社の利益を圧迫する懸念があるため。


まとめ

以上トランプ氏が大統領就任した直後の米国市場、自分のポートフォリオ銘柄について確認してみた。

全般的には、懸念されていた一律関税措置がこのタイミングでは無かったことで株価は上昇。ただ就任直後1日目の株価は上昇したものの、それが継続的なものとなるかは不透明。

また自分のポートフォリオはトランプ氏が大統領選に勝利した直後の動きと概ね同じだったが、今回はHealthcareセクターが下落とはならず、国家エネルギー緊急事態宣言を受けてエクソン株が下落した点が異なっており、これが今後の流れとなるかも注目点。

ひとまずトランプ氏の大統領就任直後は無難に乗り切ったが、今後のトランプ大統領の施策によって株価に影響が出る不安は残っている。21日閉場後にもトランプ大統領は、中国から合成オピオイドの一種フェンタニルが流入していることへの報復として、同国からの全ての輸入品に対する10%の関税賦課を引き続き検討しており恐らく2月1日を考えている、と発言している(先に挙げたカナダ、メキシコに対する関税措置も同様だが、本当に発言通りなのか交渉材料としたブラフなのかは判らないのだが)。

やはりトランプ大統領が任期期間中は、突発的な発言や施策によって市場が大きく変動する機会が増えそうである。それが自分の資産や生活にとって悪い方向とならないことを願いたい。これまで以上に落ち着かない日々が続くのだろうか・・・。

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