マクドナルド(MCD)2024年第3四半期決算(2024/10)

はじめに

2024年10月29日(火)には自分が所有しているマクドナルド(MCD)の2024年第3四半期決算発表があった。

前回7月の2024年第2四半期決算時には5ドルセットの売れ行きが好調なこともあって上昇したのだが、

「今回の決算を受けての勢いが続くのか、それとも一時的なものに終わるのかが気にかかる。個人的には先に挙げた低所得帯向けのセットメニューの効果が業績にどれ程の影響を与えるかが不明な現時点では長続きしない気がするのだが、予想に反して堅調な株価上昇になってくれると有難い。」

と書いており、あまり期待していなかったのだが実際には好調だった印象がある。しかし第4四半期とはなるが10月下旬にクォーターパウンダーに関連した大腸菌集団が発生して(原因は玉ねぎだったらしい)大きく下落

して不安定な動きに見受けられる。

そんな状況の中、今回の決算そしてそれを受けて株価はどうなったか。以下にその結果・内容を整理しておく。


マクドナルド2024年第3四半期決算概要

以下の情報はマクドナルドの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第3四半期の総売上高(Total Revenues)は68億7300万ドルで、前年同期比3%増加
  • 2024年第3四半期の純利益(Net Income)は22億5500万ドルで、前年同期比3%減少
  • 2024年第3四半期のTotal operating costs and expenses(総営業コスト及び経費)は36億8500万ドルで、前年同期比6%増加

  • 2024年第3四半期のGAAPベース希薄化後1株当たり利益(Earnings per share-Diluted)は3.13ドルで前年同期比1%減少(恒常為替ベースでも1%減少)。Non-GAAPベースでは3.23ドルで、前年同期比1%増加(恒常為替ベースでも1%増加)

既存店売上

2024年第3四半期の既存店売上は以下の通り。

今四半期の米国既存店売上は前年比0.3%増。世界全体では1.5%減。海外ではフランスとイギリス、ライセンス市場では中東と中国が低調だった。

2024年通期見通し

2024年通期の見通しは以下の通り。

  • 営業利益率(Operating margin):40%半ば~後半(前回と変わらず)
  • 資本的支出(Capital Expenditure):25~27億ドル(前回と変わらず)

その他

その他決算及びカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 第3四半期の業績を話す前に、米国のいくつかの店舗で最近発生したスライスしたタマネギに関連した大腸菌感染症についてお話ししたい
    • 状況は収束したようで第3四半期の数字には影響しなかったものの、これは確かに重大事であり、多くの皆さんの心に浮かんでいることは承知している
    • Taylor Farmのコロラドスプリングス工場から出荷されたスライスされたタマネギが汚染源である可能性が高く、この工場からのタマネギの調達を無期限に停止した
    • 重要なのはコロラド州農務省が27日(日)に、当社のビーフパティのサンプルで大腸菌が検出されず、さらに検査する予定がないことを確認したことで、これはクォーターパウンダーのパティが原因ではないとした当社の調査を裏付けるもの
    • 来週にはクォーターパウンダーの販売を再開する予定で、お客様に安全にサービスを提供することが私たちの最優先事項であり、決してその点に妥協はしない
  • 第2四半期はQSR(Quick Service Restaurant:ファーストフード)業界全体で、いくつかの主要市場で来店客数が減少し、消費者、特に低所得層の消費者が自宅での食事を選択する頻度が高まっていることを伝えたが、この傾向は第3四半期も続いている
  • 当社は2024年は厳しい環境になると予想しており今年これまでの業績は期待を下回っているが、第3四半期には進展の兆しが見られ、特に米国では市場シェアが着実に拡大している
  • 5ドルのセットメニューは好調で、我々は以下の3点を実現したいと考えていた
    • 価値と手頃な価格に関するブランドイメージの向上
    • 特に低所得層の消費者を中心とする単一のユーザーとのつながりの確立
    • 短期的および長期的なビジネスの健全性を促進するゲスト数の変化
  • 5ドルのセットメニューはまさにその目的を果たし、四半期を通じて顧客をレストランに呼び戻し、平均支払い額を10ドル以上に保ち、特に低所得層の消費者の間で牽引力を高め、このグループのシェアを1年以上ぶりに増加させることができた
  • 5ドルのセットメニューは12月まで延長することを決定している
  • IDL部門では、中南米での好調な既存店売上高は中東で続く戦争の影響で相殺され、中国での業績も消費者心理と支出の低迷により引き続きマイナスの影響を受けている
  • 冒頭に述べた公衆衛生上の問題(大腸菌感染症)が当社の事業に重大な影響を与えないという前提の下、2024年の財務見通しを再確認している
  • 質疑応答
    • 今後3~6ヶ月に検討している広告メッセージについてはその多くが価値に焦点を当てているが、短期的には価値と製品の取り組みに重点を置くのではなく、それらの資金の一部をブランドに関するメッセージやブランドの基礎に対する信頼の回復に割り当てる必要があるのでは
      • 事業の成長を取り戻すことと国民を安心させることを、どちらか一方として見ているのではなく両方として見ており、両方できると考えている
    • 今年最後の四半期の重要な変動要素は
      • IOM市場については業界環境は依然として厳しい状況にある。つまり、消費者はプレッシャーを受け、業界はIOMの主要市場の多くで縮小しており、実際これらの市場の多くでは第3四半期に縮小が悪化している
      • しかし、次の四半期あたりで状況に関係なく2025年に最高の位置につけるよう、さらにいくつかの可能な限りのことをしようとしており、既に述べた様に当社は今年も引き続きガイダンスを達成できると予想している
    • 大腸菌感染症の業績への影響について
      • ニュースが広範で早い段階での明確さが欠けていたため、明らかに影響はより広範囲に及んでいる
      • しかし、先ほど述べた様に最も重要な出来事はもう過ぎ去ったと思う。我々は米国事業を以前の勢いに戻すことに全力を注いでおり、すべての消費者の信頼を回復するために懸命に取り組んでいる
      • 第4四半期の初めには非常に好調なスタートを切り、5ドルのセットメニューは明らかに引き続きうまく機能している
    • コアマージンの低下について
      • 売上高の伸びは依然としてかなり鈍く、コストの影響が依然として事業に打撃を与えているため、パーセンテージの観点から利益率に圧力がかかっている
      • 例えば米国では、1桁台半ばをわずかに上回る賃金圧力があるが、これは明らかに今年初めのカリフォルニア州での大幅な賃金上昇と、全国的な賃金上昇が主な原因
      • また手頃な価格帯のポジショニングによる影響も多少あると思う
      • 明らかにこれは短期的な投資だが、量を増やすことでマージンと収益性を高めることができるため非常に重要
      • 量の増加を促進することで、中期および長期的にマージン率を伸ばすことができると確信している

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第3四半期の総売上高(Total Revenues)は68億7300万ドル、市場予想の68億2000万ドルを上回っている
  • 2024年第3四半期のNon-GAAPベース希薄化後1株当たり利益(Earnings per share-Diluted)は3.23ドル、市場予想の3.20ドルを上回っている
  • 2024年第3四半期の世界の既存店売上高は1.5%減、市場予想の0.7%減を下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてマクドナルドの株価は

前日比0.60%の下落。同日の米国市場は

まちまちだったが、それ等と比較するとマクドナルド株の下落はやや大きい。売上、EPSは市場予想を上回り、通年見通しも維持したものの、海外市場、特に欧州、中東、中国で売上が振るわなかったことや、経営陣は終息を強調したが大腸菌感染症の影響が危惧されたのだろう。

年初来のマクドナルド株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

市場が上昇傾向にあったのに対してマクドナルド株は年初から下落傾向が続いて年初来10%超のマイナスに沈んでいたのだが、第2四半期決算発表以降は冒頭に記した5ドルセットメニューの好調さが功を奏したのか上昇傾向に転じ、一時は年初来5%を超える上昇となっていた。しかし大腸菌感染症があってからは下落し、今回の決算時点では年初とほぼ同等の株価水準となっている。

今後のマクドナルド株だが、大腸菌感染症前の好調な状況が続くのか、それとも大腸菌感染症及び決算を受けての下落傾向が続くのかが気になるところ。一応原因が究明されたことから大きな下落とはならない気もする一方で影響が全くないとは言えず、欧州、中東、中国での振るわない売上も考えると大腸菌感染症前の好調さは少なくとも期待できないだろう。今回決算を受けての下落がが上記悪材料を踏まえた上での下落であって、これ以上の下落とならないことを願いたい。

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