はじめに
2022年5月5日には自分の所有しているケロッグ(K)の2022年第1四半期決算発表があった。
ケロッグは決算発表に先立って2022年4月29日に四半期配当を発表しているのだが、配当は据え置きで5四半期つまり1年以上据え置きとなった。自分の所有している配当を出している銘柄では概ね1年に1回配当増をするので、ケロッグの決算内容は気になるところ(ただ次四半期には配当増の予定としている)。
以下ケロッグの2022年第1四半期決算内容について確認・整理しておく。
ケロッグ2022年第1四半期決算概要
以下の情報はケロッグの企業サイトより引用・抜粋。
- 2022年第1四半期の総売上高(Reported Net Sales)は36億7200万ドル、前年同期は35億8400万ドルで前年同期比2.4%増加
- 2022年第1四半期の一時項目を除く1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.10ドル、前年同期は1.11ドルで前年同期比0.9%減少
- 2022年第1四半期の純利益(Net income attributable to Kellogg Company)は4億2200万ドル、前年同期は3億6800万ドル
2022年通期見通し
2022年通期見通しは以下の通り。
- Net Sales(売上、既存事業ベース):~4%(前四半期は~3%)
- Operating Profit(営業利益):+1-2%
- Earnings Per Share(EPS、調整後恒常為替ベース):+1-2%
- Cash Flow:11億ドル~12億ドル
既存事業売上の成長率を前四半期の~3%から~4%に上方修正している。これは好調なグローバルでのスナック販売、アフリカでのヌードル、コストインフレーションをカバーするための価格調整(値上げ)によるものとしている。
アナリストとのカンファレンスコール
発表資料以外のアナリストとのカンファレンスコールで気になった点を以下に挙げておく。
- ロシアとウクライナにおける売上(Net Sales)はケロッグ全体の1.5%以下、欧州においては10%以下
- ロシアへの出荷、投資は停止しており、今年の売上、収益に直接の影響を及ぼすが、影響は通年見通しに反映されている
- ロシアとウクライナの影響は主に下半期となり、第1四半期にはそれ程影響が無かったが第2四半期から徐々に現れてくると想定
- アメリカでのシリアル製品在庫は昨年の工場火災、ストライキから予想よりも早く回復している
- 想定しているインフレは前四半期と同じく二桁台(double-digit inflation)で、これは通期見通しに組み込まれている
- 確かにロシアとウクライナからの小麦の調達は多いが、世界全体でロシア/ウクライナに代わって調達するよう戦略転換し非常に効果的に行われている
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2022年第1四半期の総売上高(Reported Net Sales)は36億7200万ドル、市場予想の35億8000万ドルを上回っている
- 2022年第1四半期の一時項目を除く1株あたり利益(Adjusted Diluted EPS)は1.10ドル、市場予想の0.91ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてのケロッグの株価は
3.51%の上昇。同日の米国市場が
と大幅下落している中でこのケロッグの上昇は決算内容がかなり市場に評価されたものと思われる。
再度決算内容を確認してみると、売上、調整後一株当たり利益が市場予想を上回っていること、既存事業売上の通年見通しがロシアとウクライナの影響を織り込みながらも上方修正されていること、昨年のアメリカでの工場火災やストライキからの回復が想定よりも早かったことなどが好感されたのだろう。特にケロッグの売上は
アメリカが半数以上を占めているので、アメリカでの工場火災やストライキからの早期回復傾向がカンファレンスコールで強調されていたことが株価上昇に大きく寄与したと思われる。また冒頭に書いた4月29日の配当据え置きは振り返ってみると前回の配当増も7四半期据え置きの後だったこともあるためか特に材料視されていない様子。
決算発表の翌日も市場が
冴えなかったの対してケロッグは
引き続き3.56%の上昇であった事を考えると、自分が想像するよりケロッグ株に対する市場の評価は高かったのかもしれない。また決算発表前には複数のアナリストが
ケロッグの投資格付けを引き下げていたのだが、その懸念が決算発表で払拭されたのかもしれない。
年初来のケロッグ株を見てみると
今回の決算発表及びその翌日の株価上昇を差し引いても市場を上回るパフォーマンスとなっている。
個人的にはグローバルでのサプライチェーンの混乱やインフレが気になるものの、米国が主戦場である事を考えると今後も底堅い業績・株価が続くのかもしれない。