はじめに
昨日2021年12月21日(火)は掲題の通りAT&T(T)が傘下のデジタル広告を手掛けるXandrをマイクロソフトに売却することで合意したとの発表があった。
それを確認しようとした際に前日の12月20日(月)に先週に続いてアナリストの投資格付けアップデートがAT&Tに対して行われたことにも気が付いた。
以下に売却の内容と投資格付けアップデートの内容についてまとめておくことにする。
AT&T(T)のマイクロソフトへのXandr売却まとめ
以下はAT&T及びマイクロソフトの企業ページより引用・抜粋。
- 取引は規制当局による審査を含む通常の完了条件の対象
- 金額は開示されず
- DirecTVを支援する広告販売事業は含まれていない
その他はXandrがマイクロソフトへもたらす効果について述べられているが、自分はマイクロソフト株を保有していないためここでは割愛。簡単に言うとMSNなどのMicrosoft資産のオンライン広告にXandrとの相乗効果を見込んでいるのだろう。
その他正式発表以外の情報として以下の様なものがある。
- XandrはAT&TによるAppNexusの16億ドルの買収とClypdの買収(額は不明だが少額)により2018年に設立
- Xandrはオンライン広告でAT&Tに寄与してきたが、DirecTVをTPGとの合弁事業に移行し、WanerMediaは2022年Discoveryと合併し新しい独立企業となるためAT&Tにとってはあまりメリットはない
- AT&Tは1年以上Xandrの売却先を探してきた
- 売却額は一部報道によると10億ドル
ということでAT&Tにとって今となってはあまり価値のないXandrの売却というのはメリットが大きいものと思われる。
2021年12月20日の BarclaysのAT&T株投資格付けアップデート
投資格付け:Equal-WeightからOverweightに上方修正
目標株価:30ドルで変わらず
以下はMorgan StanleyのアナリストKannan Venkateshwar氏の見解要旨。
- AT&T株への投資魅力についてはしばらく検討していたが、ワーナーメディア取引の影響と競争環境に関する不確実性への懸念から格付けのアップグレードは控えてきた
- しかし2022年はワイヤレスのトレンドがケーブルに比べて可視性が高く、通信会社の位置付けは改善されると予想される
- また、先ごろ可決されたインフラ法による追い風が期待される
まとめ
上記の様な発表等を受けての直近のAT&T株は
市場(S&P 500)を上回るパフォーマンス。特に投資格付けの上方修正があった20日はS&P 500が1.14%下落したにも関わらずAT&Tは
1.72%の上昇となっている。一方でXandrの売却があった21日はS&P 500が1.78%上昇した一方で
AT&Tの上昇は1.16%に留まっており、それ程材料視されなかったのかもしれない。
年初来のAT&Tの推移をS&P 500と比べてみると
5月のワーナーメディア分離以降市場が上昇しているのと相反してAT&T株は下落し続けていたのだが、先週の投資格付けアップデートから昨日にかけてほんの少しだけ持ち直している。
先週のまとめ時点では
「問題はこれが一過性のものなのかそれとも下げ止まりの契機になるのかという点なのだが、個人的には繰り返しになるがアナリストの投資格付け上方修正の根拠は今一つ説得性に欠ける気がするし、目標株価も引き下げているので残念ながら一時的なものに過ぎないと思う。」
と書いていたのだがここ一週間では予想に反した動きとなっている。とはいえひと月前の株価水準にも達しておらず、あくまでここ一週間では持ち直しているに過ぎないので来年1月26日(水)に予定されている2021年第4四半期決算の結果が判明するまでまだまだ安心はできないだろう。