はじめに
昨日2021年3月23日(火)にイエレン米財務長官とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米下院金融サービス委員会で証言を行った。
バイデン政権下で初めて両者が議会証言を行うという事で注目されており、各種報道で詳しく説明されているので、ここでは自分が気にしていた掲題の増税に絡む部分を中心に確認しておく。
2021年3月23日の議会証言より
前段として前日22日にニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストが、米政権が3兆ドル規模の長期経済プログラムを検討しており、2つの包括案に分割される可能性が高いと匿名筋からの情報として報道していた。
イエレン米財務長官とパウエルFRB議長の基本スタンスとしては、
- 回復は一般的に予想されていたよりも速く進み、力強さを増しているように見える
- コロナウイルスのパンデミックによる経済的被害を制限するためにもっと多くのことをしなければならない
- 回復の兆しはあるものの、失業した何百万人もの人々が確実に労働市場に復帰できるようにするためには、政府の支援を継続することが重要
- 経済の復活を目的としたプログラムが望ましくないインフレを引き起こすとは予想していない
- 私たちの最善の見解はインフレへの影響は特に大きくも持続的でもない(パウエル議長)
“Our best view is that the effect on inflation will be neither particularly large or persistent” - FRBは最大の雇用と安定した価格を達成するという2つの政策目標に引き続き強くコミットしていく
という見解。これに関連して共和党から財源についての質問がありその中でイエレン氏は
- 経済が再び力強さを取り戻した後、バイデン大統領はインフラ、気候変動リスクへの対応、人的資源への投資、研究開発、製造業などを巡る長期的な投資不足への対応を提案する公算が大きく、財源確保は必要
- 一例として、政府は法人税率を現在の21%から28%に引き上げることを検討している
- 「我々は法人税下限の世界的な競争をしてきましたが、それを終わらせたい」
“We have had a global race to the bottom in corporate taxation and we hope to put an end to that”
として経済対策とその財源確保の必要性を説明していた。
まとめ
バイデン大統領となり、民主党政権となったことから財政出動と増税はある程度予期していたのだが、1.9兆ドルの経済刺激策でも規模が大き過ぎるのではという懸念があったのに、ここにきてさらに3兆ドル規模の経済プログラムとは。
以前にも
米ジョージア上院選後の金融株上昇について(2021/1/7)
【月末ベースで見るとあまり変わらず】2021年1月末米国株資産
で増税や財源確保については懸念していたのだが、追加経済プログラム(まだ案であるし、それが通るかどうかも不明(民主党でも異論はあるだろう))の可能性を考えると、昨日の議会証言では明言はされていないが、法人税の増税は実施されそうな感じ。
市場はいずれもこの議会証言(13時より)を受けて下落。
【ダウ工業平均:前日比-0.94%】
【S&P 500:前日比-0.76%】
【NASDAQ:前日比-1.12%】
米国経済が本当に健全であれば増税も問題ないのだろうが、昨日も言及したように個人的にはまだ不確定要素が残っている気がする。
バイデン政権(財務省)、FRBが上手く経済の舵取りをしてくれればいいのだが。